軍艦島物語⑳ 〜石炭のお話 その5〜

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 かつて長崎県内には20カ所近い炭鉱があり、日本の石炭産業の躍進に貢献しました。しかし、アメリカで石油採掘の技術が開発され、サウジアラビア、イラクなどで巨大な油田が次々と発見されると、安価で輸送や貯蔵に便利な石油は、石炭に変わる新しいエネルギー源として台頭。一気に消費量が増えました。そして、それは石炭産業の終焉を意味しました。それまでエネルギーの主役だった石炭は、石油の消費量と反比例してその消費を減らし、同時に、数百あった日本の炭鉱は次々と閉山しました。

 しかし、現在の日本でも石炭は使われており、消費量はエネルギー全体の22%を占めています。長崎県西海市にある松島火力発電所は、国内で初めて輸入炭を使った火力発電所です。おもにオーストラリアや中国からの輸入炭を使って発電しており、九州・四国・中国の電力会社に供給しています。