対馬アートファンタジア2015 ②

加茂昂 森に入る

2回に渡ってお送りしている対馬アートファンタジア2015。今回も多くの芸術作品をご紹介します。

対馬市役所隣接古民家(青柳邸)

この会場は万松院の参道から山側に登った所にあり、お越しの際はスニーカーなどの歩きやすい靴をおすすめします。

青柳邸01   青柳邸02

フゥフゥ言いながら急な石段を登ってみると、かわいい民家がありました。玄関脇に古いダイヤル式の電話機が2台。ダイヤルラベルには、船と蛇口が描かれています。受話器を取り上げて耳に当ててみると、それぞれ船のエンジン音、水道が流れる音が聴こえてきました。電話機を持ち出し、眼下に広がる厳原市街や井戸を眺めながらその音を楽しんで下さいとのことでした。

ジョンマンヨン電話  ジョンマンヨン電話02

(ジョン マンヨン 「厳原港に船が入ってきましたよ!」 「井戸や水道の蛇口から水が出ますよ!」)

屋内に目を向けると、床板が剥がされ根太が丸見えの部屋の奥に巨大な絵が。加茂さんの「森に入る」です。木と土で出来た古い民家の雰囲気と合っていますね。

森に入る02

(加茂昂 「森に入る」)

対馬アートセンター

飲み屋街の中にある対馬アートセンターは、島外から集まったアーティストと地域との関わりの拠点として今夏オープンしたばかり。映像や音を使った作品が多いです。

なんでもないランド   なみなみ

(丸橋光生 「なんでもないランド」 「なみなみ」 )

家   家02

(キム ボンス 「家」)

Gruppen of Tsushima 3ヵ国のオーケストラのための   びおんオーケストラのピアノと石

(吉濱翔 「Gruppen of Tsushima 3ヵ国のオーケストラのための」 「びおんオーケストラのピアノと石」)

Where the soul goes(shell)

(吉濱翔 「Where the soul goes(shell)」)

対馬歴史民俗資料館

対馬に関する歴史的な史料や文化財が展示されているこちらでは、自然、歴史、風土に焦点を当てた作品が展示されています。

浮遊している石

(潘逸舟 「呼吸」 「浮遊している石Ⅱ」 「浮遊している石」)

島なるもの

(七搦綾乃 左下「島なるもの 樺」 中央「島なるもの 紙、インク」 右下「海を照らす 桂」 )

海を照らす

(七搦綾乃 左上「海を照らす 紙、インク」 右上「界を結ぶ 紙、インク」 左下「海を照らす 桂」 右下「界を結ぶ 桂」)

チョウジガマズミ

(黒田大祐 「チョウジガマズミについて 小豆島、対馬、釜山」)

半井桃水館

半井桃水は、対馬出身の小説家で釜山にあった対馬藩の倭館で少年時代を過ごしていたことから、韓国のアーティスト、キム スジンさんの作品を展示。対馬に漂着した流木と漁網で表現しています。

満船

(キム スジン 「満船」)

 

 

期間   2015年8月22日から9月27日

会場   対馬市役所隣接古民家(青柳邸)平日11:00-16:00 土日祝10:00-17:00 休館 火曜日 

      対馬アートセンター 平日11:00-16:00 土日祝10:00-17:00 休館 火曜日

      対馬歴史民俗資料館 全日9:00-17:00 休館 月曜日(祝日の場合は翌日) 

      半井桃水館 全日9:00-18:00 休館 火曜日  

主催   対馬アートファンタジア実行委員会 ホームページ

〒817-0023 長崎県対馬市厳原町田渕828番地(対馬・アートセンター)

助成   公益財団法人福武財団 ママ基金

後援   長崎県 長崎県教育委員会 対馬市 対馬市教育委員会 対馬市商工会 対馬観光物産協会 (株)コミュニティメディア

対馬アートファンタジア2015 ①

CaCo3-01

 2011年に始まった対馬アートファンタジアも、今年で5回目。毎回、日本や海外のアーティストによる斬新な作品が展示されています。そこで今回も楽しい現代アートの数々を2回に渡ってご紹介。

最初の会場は、2013年に廃校となった対馬市久田小学校内院分校。懐かしい木造校舎では、対馬の自然や歴史をテーマにした作品を見ることができました。

「CaCo3」入江早耶 まずは、広島を拠点に活躍している入江早耶さんの「CaCo3」

 古来より真珠の産地として名高い対馬ですが、真珠と同じ成分の炭酸カルシウムを含んだチョークを利用して、海神の娘「豊玉姫」を表現しています。その視線の先にある黒板には、対馬の山々やキラキラ光る海。そして豊玉姫が祀られている和多都美神社の鳥居が描かれています。

「幻日」LED・運動場 黒田大祐

「幻日」LED・運動場 黒田大祐02

次は様々な素材を使い扇風機で動きをつけたアート作品が多い黒田大祐さんの「幻日」(LED・運動場)

幻日(げんじつ)とは、太陽の横に現れる大気現象のこと。窓側に置かれている椅子に座って外の景色と教室内の作品を見ることで幻の太陽を表現しています。運動場の楕円形と対をなすLEDの輪は扇風機で動きながら、色が変化していました。

「ミュージカル・チェア」潘逸舟01

「ミュージカル・チェア」潘逸舟02

 映像で表現しているのは、中国、上海生まれの潘逸舟さんの「ミュージカル・チェア」。干潮時に姿を現す瀬での椅子取りゲームの映像と、その裏側のスクリーンでは満潮時に海面下に沈んでしまった瀬が映されていて、領土問題や境界線の曖昧さを問いかけた作品でした。

「幻日・風・ネオン」黒田大祐01

真っ暗で様々な学校備品が置いてある部屋には、小さくて丸いネオンと扇風機が何やら怪しい光を放っていました。黒田大祐さんの「幻日・風・ネオン」

まるで、ゲームの中の秘密基地もしくは廃墟を連想させるような空間ですね。

「幻日」ビデオ 黒田大祐

次の教室も黒田大祐さんの「幻日・ビデオ」

運動場に幻日をイメージした楕円が描かれる様子のビデオでした。

「どこからきたの。どこへいくの」友定睦

友定睦さんの「どこからきたの。どこへいくの」 対馬にひっそりと佇むお地蔵様。その前掛けをめくると人の像が彫られていて、隠れキリシタンの伝説が残る話をモチーフに映像化された作品。その像を演じる女性が波打ち際を行ったり来たり。マリア様でしょうか?

「海流の島」伊東敏光

「内院周景」伊東敏光

校舎の廊下まで続く古材の海流の先には、対馬がありました。彫刻家の伊東敏光さんの「海流の島」と会場の廃校がある内院地区の山と入り江にある女神が住む島、納島をモチーフにした「内院周景」

黒潮の支流が、日本海に流れ込み対馬暖流となって北上することから対馬は海流の島といえるでしょう。九州本土からフェリーに乗って来島すると圧倒的な海のパワーを感じます。それを彫刻家らしい感性で表現されていますね。

対馬アートファンタジア2015②へ続く

対馬特派員 鍵本泰志

 

期間   2015年8月22日から9月27日

会場   旧対馬市久田小学校内院分校 グーグルマップ

開場   平日11:00-16:00 土日祝10:00-17:00

休館   火曜日

アクセス 厳原市街から県道24号線を南下18.5km 車で30分

主催   対馬アートファンタジア実行委員会 ホームページ

〒817-0023 長崎県対馬市厳原町田渕828番地(対馬・アートセンター)

助成   公益財団法人福武財団 ママ基金

後援   長崎県 長崎県教育委員会 対馬市 対馬市教育委員会 対馬市商工会 対馬観光物産協会 (株)コミュニティメディア