畑の中の教会

五島における、いや日本における教会建築の父「鉄川与助」(20日の五島の人々テーマでご紹介します)が造った50棟と言われている教会の一つ、楠原教会です。

鉄川与助が造った教会の5棟目にあたります。

今でこそこんなに綺麗に整地されていますが、20~30年ほど前までは四方ぐるりと畑、畑、牛小屋、畑の中にポツンと教会だけが建っているというシュールな風景でした。一般的な概念だと、隠れキリシタンの教会はわりと辺鄙な場所にあると思われますが、この楠原教会は岐宿町から歩いても30分程で、険しさや厳しさのかけらもなく、穏やかに開けた平野にあります。

これは教会に展示していた、昭和41年頃の楠原教会。

慶応元年の浦上における「信徒発見」を機に、囚われの身になるのを覚悟して続々とキリシタンとして名乗りを上げた信者たちは過酷な迫害を受けました。

この写真は当時の様子です。

彼ら33名はわずか2間半四方(5.4㎡)の家(下写真)に閉じ込められ、後に首縄に手を縛られてここ楠原から山を越えた漁村・水の浦の牢に移されて、筆舌に尽くせない環境を耐え抜いて3年後に釈放されたのです。

そんな彼らをマリア様は慈愛の眼で見守ってくださっているでしょう。

この写真は少しだけ開いていた扉の隙間から撮らせていただきました。 こうもり天井(リブ・ヴォールト天井)が美しいですね。

楠原教会は、福江港から車で岐宿方向へ行き(約20分)、岐宿支所の信号を左折(二本楠方面)約10分です。

五島特派員  庄司好孝

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