軍艦島物語⑯ 〜石炭のお話 その1〜


photo:2015©P3Labo

 今の若い方にはピンとこないかもしれませんが、かつて石炭は、「世界を動かした」と言っても過言ではないほどのエネルギー源でした。

 石炭は、古代の植物などが土や土砂で地中に埋もれ、地熱や地殻変動の影響を受けて変質した化石の一種です。数千年から数億年の間地中に堆積し、地中から掘り出して点火すると燃え、燃料となるのです。

 成分は炭素、酸素、水素などで、燃料となることから「燃える石」と呼ばれたり、石炭産業が日本の基幹産業だった時代には「黒いダイヤ」と呼ばれたこともありました。産地により品質に差はありますが、無煙炭、瀝青炭、泥炭、褐炭などの種類があり、炭素が多いほどよく燃えます。

 現在、人類のエネルギー源はガス、石油、電気などが主流になっています。しかし世界規模では、石炭と同じ「化石燃料」である石油の可採年数が41年、天然ガスは61年。比較すると、可採埋蔵量が約8609トンと言われている(2010年の統計)石炭の可採年数は127年です。限りある資源であることに変わりはありませんが、今まで石炭の最大の欠点とされていた臭いや大気汚染の問題を解決する研究も進んでいることから、エネルギー源としての石炭を見直してもよいのかもしれません。

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