長崎ゆかりの偉人たちの足跡をたどりながら、スタンプラリーで歩く「長崎ウーマンズ・ウォークラリー」や、まち歩きに不可欠な公衆トイレに特化した「みんなにやさしいトイレ会議」などをプロデュースしながら、コピーライターとして30年以上、第一線で活躍する竹中さん。その原動力となったのは何なのか━━さっそくお話を伺ってみました。
竹中 きっかけは1冊の本でした。図書館で、長崎の女傑のひとりである大浦お慶さんの本に出会ったのです。当時、私は大浦お慶さんのことを知らなかった。こんなに素晴らしい女性が長崎で活躍していたということを、何かイベントを通して伝えたい。その思いから1986年、長崎ウーマンズ・ウォークラリーが生まれました。同時に、まち歩きに必要不可欠な公衆トイレを1年かけて実態調査をしてみて、その資料を行政に提出したところ、反応が大きくて・・・。トイレ文化は、ウォークラリーとともに誕生したのです。
━━どちらも25年も続いている企画ですが、持続させる秘訣は何だと思いますか?
竹中 人に頼るのではなく自ら行動することかな。イベントは人集めが大事。開催して参加者が少なかったというわけにはいかない。だからその時期は、いつもチラシをバッグに入れて渡す用意をしています。開催後も大切だと思っているので、お礼のハガキやメールを必ずしますね。おかげで、今ではウーマンズ・ウォークラリーのチラシを持っていくと、「この季節がくるのを楽しみにしていました」といわれるようになりました。ウォークラリーのイベントの参加者は毎年1000人を超えるようになり、約20社の企業から共催・協賛の形で協力していただいています。特に永年、陰で支えてくれているエフエム長崎があってこそですね。
━━トイレ会議は毎月1回、各自がトイレについて調査した資料をもとに勉強会を開いているとか。昨年は公開会議、シンポジウム、トイレ川柳の投稿募集をされましたね。
竹中 公衆トイレは汚いから入らないとの理由で、関心が少ないことが逆に公衆トイレを汚いまま放置する結果になっています。だから、まずは興味を持って欲しいと思って、一般の方が参加できる公開会議を3月に、トイレシンポジウムを6月に開催しました。昨年はトイレの神様という楽曲も流行ったりして、タイミングも良かったみたいで反響が大きかったです。
━━そんな中、新たなプロジェクトにも参加されたのですね。
竹中 長崎県の男女参画・県民恊働課が立ち上げた「お慶プロジェクト会議」です。これは「女性力で長崎を活性化!」をコンセプトに、長崎県下各地からリーダー的な存在の女性たちだけを11名集めて、女性力を活かしたアイデアで長崎を元気にするというもので、コーディネーターをしています。女性たちがこれまで以上に活躍しやすくなるように、11名のメンバーが1年以上かけて、幅広い視点から意見を出し合い、昨年11月、提案書を知事に提出しました。
━━竹中さんのように、何か始めたいけれど、何をしたいのかがわからないと悩んでいる方も多いと思います。そんな方々にアドバイスをいただけますか?
竹中 まず、食わず嫌いにならないこと。映画でも本でも食べ物でも、まず体験してみることが大事だと思います。観てもいない、食べてもいないのに文句だけをいうのはダメ。私は気になったら、とにかく何でも「食べてみる」ことにしています。
最後に竹中さんは「自分が企画したイベントを続けていくことは、まるで子供を育てていくようなものですね」と語ってくださいました。課題をひとつひとつ、丁寧にクリアし、邁進していく。継続は力なりといいますが、この言葉を見事に体現してらっしゃる竹中さんでした。
竹中 晴美さん
和歌山県生まれ、長崎育ち。広告代理店勤務後、30歳のときに独立し、現在フリーランスのコピーライターとして活動中。長崎ウーマンズ・ウォークラリー実行委員長、「みんなにやさしいトイレ会議」実行委員長のほか、エフエム長崎審議委員長や日本トイレ協会正会員、知的な力”KAST”代表を兼任。