島の祭り 壱岐特派員|武原|2011.12.08
お十夜~壱岐独特の先祖供養~
壱岐の11月といえば、「お十夜」の月と言われます。10月末頃になると、スーパーでは、「お十夜セット」の注文のチラシが貼られます。和尚さん達は、毎日、島のお寺を順番に回り、朝から夕方まで、念仏を唱え先祖を供養する習慣があります。
今回は、島のお祭りではないのですが、壱岐独特のスタイルで長年行われている「お十夜」を紹介します!
この「お十夜」は元々、浄土宗で行われている念仏法会なのですが、曹洞宗が多い壱岐のお寺(曹洞宗がほとんど)でも、古くから行われてきた先祖供養の大事な年中行事です。早朝から参拝する家族がたくさん。境内にはお供え物を売る露店も出ています。
特に、この1年に亡くなられた方がいる家は「新十夜」という供養があります。
寺送り(49日法要)を済ませ初めて迎える「お十夜」を「新十夜」といって、大切や節目の供養として、昔から行われているそうです。
22年前初めて出た壱岐のお葬式にも驚きましたが、この「新十夜」の供養スタイルにも、目が点になるほどの驚き!太鼓・鉦・木魚・などの音がとてもテンポよく響き渡り、リズミカルな音楽のような伴奏に、8名の和尚さんたちが、円を作ってグルグルと歩き回りながら、念仏を唱えています。
1回に10~15分程度の念仏ですが、次々に「新十夜」の家族の方が呼ばれ、12時間も続くこともあるそうです。この和尚さんが回っている場所は、天界につながる場所として、私たちは決して入ってはいけないそうです。修行をした和尚さんしか立ち入れない、とても神聖な場所だそうです。
「新十夜」ではないところは、先祖の位牌の前で、家族でおごちそうを食べるのが習わしだったそうです。今でも、手作りのお煮しめや酢あえ、およごし、おいなりなどをたくさん持ちより、仏間の前で車座になって、食べているところも多くあります。
昔は日が暮れてからお寺に出かけて行ったそうです。「学校から帰ると、いつもいる家族が誰もいなくて、みんなお寺に行って、おごちそうを食べたなあ~」と、とても懐かしそうに話してくれたNさん。昔はまるで縁日のように、たくさんのお店も並んで、先祖を供養するお祭り?のようだったそうです。
11月1日~20日の間、壱岐の和尚さんは大忙し!!
お十夜が終わると、何だかちょっと寂しげなお寺。でも、また次は新年の準備に追われるそうです。壱岐の人々の昔からの信仰心は、きちんと受け継がれています。これこそ文化の継承ですよね。先祖がいるから今の自分がここに居る。子どもたちにもきちんと伝えていかないといけない大切なこと!