ご利益ヨロシク 壱岐特派員取材武原|2012.3.29

春を呼ぶ「美濃谷さん参り」


 春のお彼岸の中日、壱岐の「仏参り」と言われる、「美濃谷(みのんたん)さん」のお参りに初めて行ってきました。この日は「道作り」といって、各地区の道路の畦道などの草を刈ったり、木を切ったりしながら、地元の環境整備をする日にもなっています。


 きれいに整備された道路を通って、一人で参加してきました。初めてのお参りにわくわくしながら、3月17日のお彼岸の入りからこのお参りがスタートしています。「親族の別れ年には必ず参るもの」と言い伝えられているそうです。今まで話には聞いていたのですが、なかなか機会がなく、何も知らずに行くと・・・。




 女竹に椿の花をさした杖を持って来て、たくさんお供えしてあります。女竹(めだけ)は、大人の親指くらいの太さの竹です。壱岐の里山には、たくさん生えています。この竹に、今が盛りの椿の花を挿し、杖としてお供えするそうです。お供えをしたら、別の方の杖を代わりにもらって帰り、自分の家のお墓にお供えする風習もあるそうです。



 その横で長い柄杓で水を汲み、そっと注ぐ親子連れ。子どもたちも一生懸命に水を汲んでいます。



 私は、初めてこの井戸を見ました。かなり深く、お賽銭もたくさん入れてありました。「涙川(なみだごう)」と言い、覗くと水面に死別した人の顔が浮かび、涙にくれるといわれています。

 お堂には金が鳴り響き、祭壇にはたくさんのへそ菓子とお札、お賽銭が供えられています。



 ヘソ菓子は、おへそのような形をしているお供え用のお菓子です。壱岐に来て初めて見たこのお菓子。
どんな味かと一度食べてみたのですが、味は付いてないので、食べてもおいしくありません。お彼岸近くになると、スーパーにもたくさん売られています。





壱岐西国三十三番観音巡礼
 第三十三番札所のこの美濃谷さんは、美濃国揖斐郡谷汲村、天台宗谷汲山華源寺になぞらえたものだそうです。壱岐で、三十三か所巡りを楽しむことができるのも新発見!お地蔵さまもたくさんありました。

 お彼岸の期間中、特別に手打ちのそばやうどんも食べることができます。大変な人気で、壱岐の島中から集まってくる参拝者はこれを目当てに来ているとも、聞いたことがあります。特にそばは、初日2日間で完売したそうです。来年は彼岸の入りにお参りして、まぼろしの「壱州そば」を食べてみたいと思います。

 今年は境内の桜もまだ固いつぼみでした。でも、春はもうそこまで来ていますよ。

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