ご利益ヨロシク 対馬特派員|鍵本|2011.11.18

灯篭に浮かび上がる幽玄の世界


 対馬からのパワースポット企画は、対馬藩主宗家の菩提寺「万松院(ばんしょういん)」から、11月5日に開催された万松院祭りの様子をお伝えいたします。

 万松院(天台宗)は、対馬府中藩の初代藩主、宗義智(そうよしとし)が1615年に逝去したことから二代藩主の義成が金石城(館)の西峰に松音寺を建立しました。その後、義智の法号にちなみ万松院と改められ、1647年に現在地に移りました。数度の火災に遭いましたが、桃山様式を残す山門(極楽門)は焼失をまぬがれ創建当時の姿を保っており、現存する対馬最古の建物として1985年(昭和60年)に国の史跡となりました。
 山門のわきには百雁木(ひゃくがんぎ)と呼ばれる132段の自然石の石段があり、そこを昇ると上段に14人の藩主とその正室、下段には側室の壮大な墓地があります。

 幾多の困難にみまわれた安土桃山時代から江戸時代にかけ、対馬を守りぬいてきた歴代藩主の墓地は、対馬で最強のパワースポットと言えるでしょう。



 万松院祭り当日、薄暗くなってくると参道に提灯が灯され、参拝客の皆様が大勢集まって来られました。



 いつもは閉ざされている極楽門も今日は開放され、その前ではかがり火が焚かれており、見慣れている仁王像もいつもとは違う表情を見せています。このような演出が雰囲気を盛り上げてくれますね。
地元のおっさま(対馬の方言でおじさま)達は、今夜は月も出て良い日和だと一杯飲んで話に興じ、その脇では参拝客にぜんざいが配られていました。

 この幽玄的な様子、如何でしょうか?まるでスタジオジブリのアニメに出てきそうな感じですよね?350の灯篭にロウソクが灯され、参拝客の皆様は係りの方に手渡された提灯を片手に百雁木を昇り墓地に向かいます。

 墓地に暗くなって行くことなど肝試し以外ではまず、ないでしょうが、ここは歴代の殿様が眠る墓地なので、暗くても地元の方たちに怖いという感覚は全くありません。

 (この写真を撮るため、カメラをセットしていたら野性の鹿が右側の石垣から石段に着地し、左の竹やぶに跳ねていきました!一瞬の出来事だったのですが、周りの方も鹿を目にし驚いていました。灯篭の灯りにつられて鹿も出てきたのでしょうか?(^^;)

 この百雁木、昼間はこんな感じです。132段の石段が直線で上まで続いています。中学生の頃はよく走って上まで昇っていましたが、今では歩いて昇っても息切れします(^^;



名称:万松院(ばんしょういん)
場所:長崎県対馬市厳原町西里192
連絡先:0920-52-0984
入場料:通常300円(万松院祭りの時は無料で開放)
アクセス:厳原港から約1.1km 徒歩で20分~25分
万松院祭り:毎年10月の第1か第2土曜日に開催(今年は朝鮮通信使易地聘礼200週周年記念行事に合わせ11月5日に開催されました)




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