島の祭り!|対馬特派員取材|鍵本泰志|2015.11.26

年に一度の馬祭り 対馬初午祭

険しい山が多い対馬で、農耕や木材、薪、炭の運搬などに使われてきた対州馬は、島の人々にとって欠かせない存在でした。今回の島の祭りは、その対州馬を主役とした「対馬初午祭」の様子をお伝えします。



元々、初午祭は対馬の上県町瀬田地区に伝わる男児の節句を祝う伝統行事です。その時、余興として河原の土手を対州馬で走り、競い合ったのが「馬跳ばせ」で、近隣から大勢の見物客が訪れるほどの賑やかなお祭りでした。




祭りのプログラムは毎年趣向が凝らされた出し物で、対州馬のダービー「馬跳ばせ」を始め、流鏑馬(やぶさめ)や疾走する馬上からの凧揚げ、障害飛び越え、階段登りなど人馬一体の高度な技を要する内容で観客を楽しませていました。




小型ながら馬跳ばせで疾走する対州馬は、思いのほかスピードがあり、近くで見ているとすごい迫力でした。





また、対州馬と触れ合える子供たちの乗馬体験では、長い行列が出来ていました。子供たちにとっては良い思い出になるプログラムですね。



♫ はぁー しんきー しんきーと 山路ちゃ行けばー・・・  尺八の音色にあわせて歌われる対馬民謡の「しんき節」が会場に響き渡ります。元々は、ばいのさ節、馬子歌といわれていた「しんき節」。対州馬とともに山で一日仕事をし、馬も人間も疲れ果てて家路につくときに歌われたものです。歌の合間には馬を叱咤激励するセリフが入ります。「ほぅ!だだだだ!さっさ歩まにゃ 戻ってぞうずは飲ませんぞ!」 ぞうずとは馬のために作った雑炊状のエサで、馬の疲れが取れるように与えていました。



対州馬保存会事務局の冨永さんが、このようなことを仰っていました。


「山がちで道路事情が悪い対馬で、昔の人々は対州馬の力を借りて生活をしてきました。車や農機具の普及で対州馬を身近に感じることが無い今では、そのことが忘れられて対州馬の存在が意識されることが少ないようです。対馬の発展のために尽力してくれた馬の存在を忘れないように、次の世代へ伝えていきたいですね」


対州馬の啓もう活動も兼ねている初午祭ですが、島の人々は対馬のために頑張ってくれた対州馬への感謝を忘れてはいけませんね。

対馬特派員 鍵本泰志

名称 対馬初午祭(つしまはつうままつり)
会場 目保呂ダム馬事公園 長崎県対馬市上県町瀬田
日時 毎年10月第3日曜日
主催 対馬初午祭実行委員会
後援 対馬市、対州馬保存会
協賛 瀬田区

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