気持ちよく晴れた小春日和の中、豊玉町の廻(まわり)地区にある池田の浜を訪れました。今回の島の細道は、江戸時代に土木の名匠として知られていた増田定七が築き、今も残る築堤を紹介します。
池田の浜は対馬中央部の浅茅湾から西に突き出た半島にあり、三面、山に囲われた盆地状で、雨季に冠水すると沼のようになる土地でした。中世から田が開かれていた様子ですが、本格的に開田するには、朝鮮海峡から吹き付ける風波を防ぎ、田の水位を調節する必要がありました。そこで、対馬の数々の難工事を成功させた美津島町加志出身の増田定七が半島の外海に堤防を築き、その中央部には水門を設けました。
こちら、私が子供の頃(昭和50年代)は築堤の上に防風林としての老松が茂り、風光明媚な景観が素晴らしかったのですが、害虫で枯れ果て残っていません。
石積みの堤防は自然の浜石を積み上げたもので、緩い傾斜がつけてあります。江戸時代後期の作と伝わっていますので、200年以上前のものですが、風雪に耐え現在も残る姿は、さすが名匠と言われた増田定七。よい仕事をしています。
周りに民家はなく聞こえるのは波と風の音だけ。雲ひとつない青空とポカポカ陽気、あたり一面に咲いている菜の花に誘われて車を降りのんびりと散策しました。のどかな景色が広がる中、15分ほどの散歩でしたが、とってもリフレッシュした感じで元気が湧いてきましたよ。
名称:池田の浜の築堤
場所:長崎県対馬市豊玉町廻(まわり)
アクセス:厳原町から50km(車で1時間30分)
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