島の細道 対馬特派員取材|鍵本|2012.10.24

対馬アートファンタジア2012


 昨年の11月から12月にかけて、対馬で開催された「対馬アートファンタジア」が今年も開催されています。今年は2回目とあって厳原町内だけではなく、峰町、木坂地区の海岸にある藻小屋や旧家も会場になっており、よりスケールが大きくなっています。


 対馬では古くから、舟で採取したり、漂着した藻を荒れた畑の土に混ぜ土壌改良が行われてきました。「藻小屋」は採取した藻を格納するために海岸に建てられた倉庫で、ここ、木坂地区では石積みの小屋が保存されています。





 遠くからでも目立つこの風船は、メキシコのオマル・ロサレス作「人工的反射」という作品。藻小屋に取り付けられた金色のアルミ風船が、太陽の光を反射することで対馬の自然風景と作品の間にコミュニケーションという架け橋を作るとのこと・・・ インパクトはありますね。




 藻小屋から海を臨むように作られた石の作品は、伊東敏光作「海スフィンクス」作品の説明には、海と陸との境界にあたるこの場所に立つと強い磁場を感じ、孤独な神獣が海を眺めている気がしたので、この作品が出来たとのこと。





 藻小屋近くの旧家「永留家旧宅」で展示されていたのは、韓国のジョン・マンヨン作「タンシムチュル遊び2012」

 タンシムチュルとは韓国の伝統的な時節遊びで、大勢の人が協力し1本の柱に色とりどりの布を編んでいくもの。この作品はそれを応用したアートで、対馬の地で韓国や日本の学生、市民が参加し制作されたものです。

 その目的は、両国の人々が協力しひとつの作品を創作することで、お互いの理解と平和を願う意味が込められているとか。

 制作過程の写真を見ると、大勢の人が柱の周りを一人一枚の布を持って、くるくる回りながら編んでいく様子がとても楽しそうです。



 次の作品は、厳原町の西山寺に展示されている韓国のソン・ソンジン作「夜の温度」白黒の対馬の古写真(大正~昭和)や韓国釜山の古写真に色を付けることで、現代の風景のように演出したアート。白黒写真に着色するのは、昔の絵葉書によく見られる手法ですが、こちらは夜の風景にデジタル処理で色を着けているので、より現実的で作品を見ていると、実際に何十年も前の対馬にいるような印象を受けました。



 厳原町の有明荘に展示されている、韓国のワン・ドッキョン作「空き家の中から」作者が対馬滞在時に原始林で採集したカズラで制作。他の植物に寄生するカズラで日韓両国の歴史的な傷や心理的な葛藤を表現しているとのこと。



 真っ暗な部屋に黒く立ち、怪しい光を放っているこの作品は、韓国のソン・ソンジン作「lighthouse」対馬が韓国釜山の風景、生活様式と似通ったところがあると感じた作者が、日韓両国の文化と関係を繋いでくれる島としての希望を込めて、灯台をイメージして制作した作品。
 以上、対馬アートファンタジア2012の作品を紹介してきましたが、実際は昨年の作品も場所を変え、展示されています。ぜひ、ご自分の目でアーティストたちの作品をご覧になってください。

期間:平成24年10月6日から11月10日
場所:厳原町・・・西山寺、半井桃水館、有明荘、対馬市役所
峰町木坂地区・・・藻小屋、永留家旧宅
お問い合わせ:対馬市観光物産推進本部TEL0920-53-6111
主催:対馬市


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