島の細道 長崎スタッフ取材|しましま|2015.3.12

様々な物語が残る魅惑のエリア


ここは、長崎市夫婦川町のトッポ水といわれる場所。夫婦川町公民館からすぐのところにあります。今回の細道は、春だから春の名前がつく春徳寺周辺を散策してみることにします!


手前がトッポ水の建物です。トッポと聞くと、某有名お菓子を連想してしまった私ですが、説明看板によると、弘法大師が獨鈷(どっこ)で地面を掘ったら、水が湧き出てきたので、この名前がついたとのこと。どっこが転じてトッポかぁ。ちなみに、この水を雌川(めがわ)、春徳寺下の斎道寺泉を雄川(おがわ)と呼び、この2つの水が夫婦川の町名の由来ともなっているそう。江戸時代には、長崎に来航する船舶に補給する飲料水でもあったとか。現在は飲むことはできませんが。昔も今も、町の人々の心をそっと、癒やしています。

トッポ水から石段を上ると、このお地蔵さまのところに到着。












お地蔵さまから、さらにこの石段を上れば、春徳寺にたどり着きます。それにしても大木の根もとがすごいことになっとる! 自然の力強さを感じます。






春徳寺に向かう前に、迂回してみることにしました。頭上が駐車場になっているので、下の道がトンネルになっています。突然の雨もしのげそう。






あ、コレは! 長崎ならではといっていいかも。坂道が多い長崎では、ゴミ回収時に、写真の緑色のカゴを使い、ソリのように引いて坂を下っていくのです。体力勝負ですな。




春徳寺といえば、県指定有形文化財にもなっている唐通事・東海家の墓があることでも有名です。この看板から、もう右手に見えています。ちょっと、寄り道して拝観しました。




カメラの広角レンズを駆使しても、お墓の全部を収めきれないぐらいの広さ。どんだけお金持ちだったの?と俗世で生きる私はひとりごちた。この墓は、二代目・東海徳左衛門が、父母のために作らせたという温かなエピソードも残っています。


長崎のお墓は、見晴らしの良いところにつくる。ご先祖さまに、いつまでも美しい風景を見てほしいとの願いも込められているのでしょうね。しかし、参る側は、体力的になかなかしんどいと思われますが。東海家の墓からの眺望はこんな感じです。


東海家の墓から、さらに上へ行くことに。実は、個人的に行きたかったところがあります。それは、春徳寺から上へ行った城の古址(しろのこし)。全国的にブームとなっている城の石垣を見たくて、というワケではありませんが、最近、知った「長崎の伝説」の舞台となったところでありまして……。

さきほどの階段から、歩くこと数分でこちらにたどり着きました。龍頭岩といわれています。伝説とは――昔、笛が上手なお竹という娘が、毎日夕方にこの岩の上で笛を吹いていました。すると、ひとりの美少年が現れ、たちまち2人は恋に落ちました。でも、日に日に、お竹の様子がおかしくなるので、祈祷してもらうことに。正気を取り戻したけど、その後、龍頭岩にあの美少年が現れた。怪しいと思った修験者が大声で一喝すると、瞬く間に大蛇の精になった……。その日から岩を叩くと「タンタンタケジョ」と音がするようになったとさ――気になって、この伝説が書かれた本やインターネットを見たのですが、話がちょこちょこ違っていました。辺りには大岩がゴロゴロしていたので、龍頭岩が本当にこの岩なのか、あまり定かではありません……。にしても2人(詳しくは1人と1匹)とも両想いだったからいいじゃん。なんていうのは無責任かな。


失礼して柵の中の不動明王さまを撮影。心なしか不動明王さまにしては、スリムで端正なお顔立ちのような気がしました。もしや大蛇の精が宿ったか!?








城の古址から華獄山春徳寺の方へ。春徳寺も見どころ満載です。長崎初のトードス・オス・サントス教会跡であったため、コレジヨやセミナリオも置かれていたとか。禁教時代にすべて取り壊されてしまうのですが、遺構として当時の井戸が残っています。


最後は春徳寺通りへと下りました。1567年(永禄10年)頃、長崎に初めてキリスト教を布教したルイス・デ・アルメイダの渡来記念碑や、近くには日本初の煙草の栽培地もあります。数十メートルの道には歴史がいっぱい。ドラマチックな春徳寺周辺のプチ旅となりました。

トッポ水~東海家の墓~城の古址~春徳寺通り
歩いた時間 約1時間

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