海を渡る道

五島の人にとって思い入れのある道はいろいろあります。そんな中で、歴史も、たくさんの人の思いもつまった「海の道」をご紹介します。

それは、五島~長崎を結ぶフェリーの通り道。1990年に高速艇「ジェットフォイル」が就航し、五島~長崎の所要時間は80分にまで短縮されましたが、金額的にも、歴史の長さでも、島の人にとっていちばん身近な存在はふつうの「フェリー」だと思います。長らく「フェリー五島(1971年就航)」や「フェリー長崎(1982年就航)」が活躍していましたが、老朽化に伴って、2011年3月、新型船の「フェリー万葉」が、翌2012年12月には「フェリー椿」が就航しました。新型船だけあって、乗り心地は快適。以前の船より揺れも少ないです。船の進化とともに五島から本土への旅も変化してきたんですね。

ただ、五島が海に囲まれた島で、そこを出るには海をわたる長旅が必要という事実は変わりません。学校に行くために、または仕事をするために、家族を離れる。夢をかなえたくて、住み慣れた土地を離れる。島の中学生や高校生にとっては、部活の大会などに参加するためにも、海を渡らなければならない。寂しさや、期待や、不安。時代が変わっても、たくさんの人のいろんな思いがつまった道がこの海の道なのだと思います。この春も、新しい学生や新しい社会人が、この道を通って本土へ旅立つのだと思います。わたしの経験で言えば、この「海をへだてている」という距離感があるからこそ、都会に出た五島の人たちは、逃げられないぞ、負けるもんか、とがんばるんだと思います。この春島を離れる若者たちにも、どうかへこたれずに、がんばってほしいです。(もちろん、へこたれたときは、島に戻ってきてまた元気をだしてほしいです。そのために船は速くなり、帰ってきやすくなっているんですから。)

「海を渡る道」への2件のフィードバック

  1. 今も昔(48年前)も変わりなくこの季節、旅立ちですね。

    小生の青春時代フツウの船は「楓丸」「椿丸」でした。

    長崎までの所要時間は3時間50分、海荒れたら通路には海水が、

    波の山に船があるとスクリューは、ガラガラと大きな音で空回り。

    船酔いしグッタリした頃、遠くに軍艦島が見え「ア~あと1時間で長崎」

    そのころ船内放送で「ウドン」の販売開始アナンス、胃の中空っぽ。

    グットタイミング!実に上手い!「営業」と「五島うどん」薄いカマボコ

    2枚にテンカス少々、これが本当に旨い実に旨い!!!!

    中村さんの写真や文章のように「ぜい肉」なくそのもの「ズバリ」。

    五島に住んでいる人が、島外にいる五島出身の人が、五島を知らない人が

    君の言葉を楽しみにしている。

    1. >千の風さま
      すばらしいコメントをありがとうございます。「楓丸」「椿丸」のこと、知りませんでした。
      そのうどんをとても食べたくなりました。
      いろんな人の中にある五島の記憶を耳にするとき
      とてもよい気分になります。

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