島の祭り 長崎スタッフ取材|しましま|2012.1.12
鬼火焼きで無病息災を祈願
みなさんお正月はどのように過ごされましたか? 私は実家に帰ったり仕事に行ったり、懐かしい仲間とお酒を飲んだり…。例年になく忙しいお正月の三が日となりました。さて、そんな正月ムードの締めくくりとも言える、伝統行事「鬼火焼き」をご存じですか?
「鬼火焼き」は長崎県内のいくつかの集落で主に1月7日に行われており、長崎県が発行している「長崎文化百選」によれば、勢いよくのぼる火柱に乗って正月様が帰っていくのだとか。しかし、なぜ鬼なのでしょう。炎に乗って悪い鬼が逃げていくという説もありました。ちなみに、五島など地域によっては"鬼”=”オン”で「オンノホネ」と呼ぶところもあります。 私の故郷では「オンノホネ」でしたね。
「鬼火焼き」は竹や木を組んだ大きなやぐらを燃やし、その火で焼いた餅を食べるのが恒例です。この餅を食べると一年間、病気をしないと言われているんですよ。私も幼い頃から親しんできた行事ですが、大人になってからはなかなか参加できず…。今年は長崎市東部に位置する「芒塚地区」の鬼火焼きに参加する機会をGET! 早速、出かけてきました。場所は芒塚地区の高台。ちょうど長崎出島道路・芒塚ICが目の前でした。公園の広場にはすでに大きなやぐらが出現! 地区の方々や子どもたちが周りを囲み、ぜんざいを食べ和やかな雰囲気に。もちろん私もぜんざい、いただきました。この冬、初めてのぜんざいはとっても甘くておいしかったぁ。
「辰年はおらんね~」。火をつけるのは年男、年女なんですね。さぁ、いよいよ点火の時間です。竹の棒の先に火を灯し着火!
ボワァッと一気に上がる炎は怖いくらいの勢い…。元気な子どもたちも思わず無言に。炎の威力を前に「火で遊んだらダメとよ」と、おばあちゃんが子どもたちに教えて聞かせている光景も、この行事ならではかもしれません。
その後、パーン、パーンと竹が焼ける音が響く中、少しずつ小さくなっていく炎。お待ちかねの餅焼きタイムはもう間もなく。みんなスタンバイOKかな?餅を挟んだ長い竹を持って、いざ餅焼きがスタート。「おーい、焦げるよ~」「餅がくっつきよるよ~」と外野のみなさんからの声がこれまた楽しい。
ひっくり返しひっくり返ししながら少しずつ焼けていくお餅をボーっと眺め、慌ただしかったお正月を振り返る…。こんなのんびりと過ごす時間も大切ですよね。
焼けたお餅は砂糖醤油につけ海苔で巻いて甥っ子たちと一緒に食べました。さあ、これで今年一年もまたがんばれるはず! みなさんも元気にお過ごし下さい。