島の祭り!|長崎スタッフ取材|しましま|2015.8.10
昔はケンカ騒動も!? 地元愛満載の夏の風物詩
今年の夏は暑い! 「暑い暑い」と言ったとて、気温が低くなるワケではないのに、ついつい口にしてしまいますよねぇ。こうなったら、暑い夏を楽しむ!これに限ります。今回のお祭りは、西彼長与町で行われた長与ペーロン大会に行ってみました。
西彼長与町は、長崎市中心部から車で30分ほどのところにあります。大会の本部は、長与港の西側埋立地。もう予選が始まっていた~っ! 主に地区対抗となるフリー・子ども・愛好会・職域・レディースがそれぞれ戦って、フリーチームだけ、決勝レースをする段取りでした。
長与港の西側埋立地には、ペーロン船を格納する海洋スポーツ艇庫がありました。海はこの目の前。便利なところに作っているなぁ。
会場内をウロウロ。すると、ペーロンの道具があちらこちらに置いてありました。こちらはおなじみの櫂。よくよく考えてみると、この櫂を使って船が進むのだから、ヒトの力も捨てたモンじゃないですね。
ペーロン船を各チームが保有しているのではなく、長与町が貸出しているようです。船尾の長与町章が眩しい☆ 選手たちが、用意された船に乗り込んでいました。ちなみに、ペーロンの語源は、中国の白龍(パイロン)だといわれています。福建地方の競渡船がルーツらしい。船の形や装飾など、時代を経て、長崎独自のものになっていきました。360年前から行われていたというから、なかなか歴史も古いんですよ。今では、長崎県の各地で、夏になるとペーロン大会が行われるように。いわば、長崎の夏の風物詩なんです!
救助船もスタンバイ。選手たちも安心してレースに専念できますね。
レース後、「お父さ~ん!」と叫ぶ、麦わら帽子を被った女の子。お父さんは、きっとこの時ばかりは2割増し。いつものダラダラパパじゃない! 今日は輝いてみえたハズ!!
ん? お揃いのTシャツを着た女子の集団がやってきた。――選手!? 意外にも女性の参加も多かった。カッコよかね~。
男性とは明らかに違う、女子の甲高いかけ声が海いっぱいに響き渡ります。可愛い声に思わず、近所のオジさんたちが吸い寄せられるように浜へと繰り出して来ました……。
14時半頃、ついに決勝戦となりました。「最後のレースです」との会場アナウンスが聞こえたと同時に、観客のボルテージもぐ~んと上がった模様。斉藤地区のチームは、近所のオジさんオバさんの力強い声援で選手たちを後押し。
スタートラインに並ぶペーロン船5隻。遠くてわかりにくいですが、右から順に三彩、岡郷の南・北、斉藤、岡中央です。みなぎる緊張感。昔は、ケンカ騒動もあり、長崎奉行が禁止令を出したなんて話もあるくらい、真剣勝負なんです。私の頭の中では、あの泣き虫先生でおなじみのドラマ主題歌がずっと鳴り響いていた……。
スタート! 今大会のコースは全長1150メートル。遠くに見える防波堤近くのブイをターンして、スタート地点まで戻ります。これだけの距離を5分ちょいで返ってくるってすごいなー。長崎の若者たちは逞しい!
結構、2位の岡中央に大差をつけて優勝したのは三彩チームでした。タイムは5分10秒。結果が出てからいうのもナンですが、予選を見ていて、三彩が優勝すると目をつけていました。心の中で勝手に「黒いイナズマ」とネーミングして密かに応援。なぜ、このネーミングかというと、黒いTシャツを着ていたから……わはは。
優勝トロフィーも別に用意されていましたが、海上では笹竹に「優勝」と書かれた旗が渡されていました。おめでとう!
三彩チームを応援していた人々から「よくやった~!」「ありがとう!」の声が。選手たちは郷土の誇り。
最後は、決勝を戦った5チームによる「ラストラン」。別に、知り合いがいるワケでも何でもないのに、感動しました。決勝の緊張から解き放たれた選手たちの力走と、やまない声援と――夏が終わった(終わってないけど)。こんなに爽やかな夏を味わえるのなら、多少、暑くてもいいもんだと再発見できた日でした。
第32回長与町ペーロン大会
平成27年8月2日
西彼杵郡長与町・長与港