昨年より4万5千人も多い人手となった長崎くんち。終わってさみしいなぁ…なんてことはありません! 私にとっての秋の楽しみは“くんち”と“竹ン芸”がセット。竹ん芸が終わるまでは、祭り好きの血はまだまだウズウズ(!?)するのです。竹ン芸の正式な名称は「若宮稲荷神社 竹ン芸」。
300年以上の歴史がある若宮稲荷神社は「亀山社中」の近くにあることから、境内にはあの坂本龍馬の像もあります。お社には赤い鳥居をくぐりながら何百段もある階段をエッチラオッチラ上ってやっと辿り着くことができますが、私はこのわざわざ階段を上って神様に詣でるという行為が大好きです。苦労して辿り着くことで神様への感謝が増すような気がするんですよねぇ。もちろん平地からは見ることができない眺望も素晴らしいですよ。
さて、毎年10月14日・15日の2日間に渡って行われる「竹ン芸」の見どころと言えば、狐に扮した男性陣が高さ約10メートルの2本の竹の上で繰り広げるアクロバティックな演技でしょう。初日は1日に2回、2日目は3回それぞれに見ることができ、今年私は2日目の夜8時からスタートの回へ出かけました。2日間のシメとあって境内には溢れんばかりの人・人・人! 人波をかきわけて竹のすぐそばまで潜りこみシャッターチャンスを待ちます。私以外にもカメラを持った見物客が大勢いましたが、見る側の最大のルールがフラッシュをたかないということ。何メートルもある竹の上で、しかも狐の面を着けて演技するわけですから、限られた視界がさらに見えにくくなるのは危険という訳です。
フラッシュを切って見る側も準備万端。狐のお出ましを待ち構えているとトップバッターの子狐さんが登場してきました。なんと幼稚園に通っているかわいい子狐さん。演技するのは子狐用の小竹ですが、それでもその高さは約5メートル。大人の私でも怖いだろうなぁと感じる高さでしたが立派に演技してくれました。
その後、小学生の子狐さんの小竹での演技が披露されお待ちかねの男狐、女狐が登場。盛大な拍手の中、まずは女狐が竹に上り男狐を招きます。「横一文字」、「下がり藤」など進行の方が演技の名称を解説。演者、進行、お囃子のみなさんの絶妙なチームプレーも魅力のひとつと言えます。
途中、演技に湧く観客に向け、竹の上の狐から縁起物のまき物が投げられます。まき物は手拭いや縁起餅、そしてこんなスゴイものもまかれます。なんと狐の好物である鳥=にわとり。もちろん本物の“に・わ・と・り”です! 縁起物だから自分のところに落ちて来て欲しいような、でも本当に落ちてきたらどうしよう…なんて複雑な心境になるのも「竹ン芸」ならではですね。結局、私のところににわとりさんはやって来てくれませんでしたが。
今年の「竹ン芸」ではサプライズがありました。なんと30数年ぶりの披露となる技を見ることができたのです。竹のてっぺんに座って演技する「遠めがね(仮称)」という技は、より危険度が高くずっと封印されていたそうです。貴重な演技を間近に見ることができた事に大感激。くんちとはまた違った“男らしさ”にますますホレボレ~の一夜となりました。
記念に神社で買ってきました。狐さん、我が家の事を守って下さいね。
■若宮稲荷神社
住所:長崎市伊良林2丁目10
アクセス:新大工町電停より徒歩約20分。