軍艦島物語⑬ 〜これも一種の健康被害?〜


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 土は、人間の足にとって大切なクッションですが、現代では人間が歩く道路のほとんどが整備され、土の上を歩くことは少なくなっています。その代わり、人間の運動や動作に関する研究が進み、人体への衝撃を和らげる履物が多く開発されています。しかし、昔はそのような機能を持つ履物などは開発されていませんでしたから、跳んだり撥ねたりした時の衝撃を和らげるのに土は重要な役割を担っていたのです。

 明治時代から埋め立てや拡張を繰り返して来た軍艦島は、それぞれの時代の最新鋭の技術を施されたコンクリート製の人工島です。子どもたちへの教育的見地から、島の大人たちは屋上緑化などにも取り組ましたが、子どもたちの小さな足が踏むのは土ではなく、コンクリートでした。

 当時の軍艦島で、土があるのは歩道の一部と、端島小中学校グラウンドくらいのものでした。しかし子どもたちは、どんな環境にあろうとも毎日元気いっぱい、走り回って遊びます。そのためなのでしょうか、軍艦島育ちの子どもたちには、関節痛に悩まされる子が多かったのだそうです。

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