島の細道 長崎スタッフ|武原|2011.11.01

フライング気味!? イチョウを求めてお寺散策

長崎の細道・第3回目は、長崎市の大音寺(だいおんじ)から光永寺(こうえいじ)をぶらりと散策。なぜこのお寺をチョイスしたかというと、2つのお寺にはある共通点があるからです。その共通点とは一体……! まずは崇福寺通りから二股に分かれた、この「止まれ」の細道からスタート。

 大音寺は慶長19年(1614)、伝誉が開創したお寺。寛永18年(1641)に万才町から現在の場所へ移りました。伝誉は仏教再興を願っていて、野母崎の蔵徳寺から長崎に来住し、古町で布教を開始して、後に大音寺の寺号を得ました。その活躍は、領地を公認する朱印状を幕府から長崎で最初に与えられるほどまでに! 境内は、ほかのお寺より石段が多い(ような…)。ゆるやかな傾斜で、石段の幅もわりと広めなので上りやすいと思います。日頃の運動不足を短時間で解消できそう。



 大音寺を開創した伝誉の石碑。石碑を背中に乗せた巨大な亀が、なんとも印象的です。背中にしょった碑文をすべて読むと亀が動く!?との説も。誰か解読して動かしてみて下さい。大亀さまの頭上で光輝いていた5円玉が妙に気になりました。しかしお顔はなんだか猫っぽい。口角上がっとるし。

 山門近くにある市指定天然記念物のクロガネモチ。幹回り2.6メートル、樹高およそ15メートルと県下有数の巨樹となっています。雌株なので、晩秋から冬にかけて樹上に真紅の小果がなるとのこと。さっそくクロガネモチに注目してみると、なってました! 寒くなるにつれ、またひとつ、またひとつと実をつけていくんでしょうね。










 お寺の正面から向かって左側にあるこの石段を上ります。大音寺の墓所でもあるので、ちょいとお静かに2、3分歩いてください。すると右手に美しい、あるものが見えてきます。





 じゃじゃ~ん。大イチョウ!! 私が行った時は10月下旬だったので、まだまだ青いですが、1週間後には、きっと見事な黄金色になると思います。長崎市内のイチョウとしては最大で、幹回りは3.9メートル。クロガネモチと同様、市指定天然記念物となっています。少しがんばって石段を上ると、こんなご褒美があるなんて。空いっぱいに伸びた枝を見ていると、つられて思わず背伸びをしたくなりました。気持ちいい!!

 大音寺から坂道を下ってみました。こちらは長崎で有名な坂のひとつ、幣振坂(へいふりさか)。寛永11年(1634)、諏訪神社の一の鳥居に使用するための石材を降ろす時に、宰領(さいりょう)が御幣を振って人夫たちを鼓舞したことが名前の由来です。映画「解夏(げげ)」のワンシーンにも出てくる坂でもあります。

 幣振坂を下って、ひとまず寺町通りを歩き、光永寺を目指すことに。寺町通りと書くと、文字のイメージからか、なんとなくしっとりとした通りを連想させる感じですが、細道ながら車がバンバン通り過ぎる、わりと危険な道!? 歩くときは車に注意して下さいね。



 中島川方向へ下り、一覧橋を渡ると、今回おすすめの第二スポット・光永寺へ到着。その前にちょっと一覧橋の説明を。明暦3年(1657)、唐通事の高一覧(こういちらん)が浄財を募り架けた橋です。現在の橋は、昭和57年の長崎大水害後に再建しています。一覧橋は少し高い位置にあるので、右手に光永寺を見ながら渡ることができますよ。

 幣振坂から歩いて10分ちょっとで光永寺に到着。光永寺は慶長19年(1614)慶西が創建し、浦上に念仏堂を建てた後に現在地へ移転しています。安政元年(1854)に、当時19歳だった福沢諭吉が数ヶ月間宿泊したお寺としても有名。私のおすすめ撮影スポットは、山門から見えるイチョウ! そう、こちらも大音寺と同じく、イチョウの名所なんです。まだ黄色ではないですが……。自分なりのお気に入り撮影ポイントを見つけるという歩き方も楽しいですよね。

 光永寺前には赤く染まった落ち葉が。残念ながら今回イチョウは色づいてませんでしたが、私はリベンジしたいと思います。待っててね、イチョウの木々たちよ!





今回の細道は……

長崎市鍛冶屋町・大音寺~桶屋町・光永寺
歩いた時間(境内散策を含めて)約1時間
大音寺
場所:長崎市鍛冶屋町5-87
TEL:095-824-2367


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