古くから対馬島内各地に伝わっている盆踊り。その中でも以前から見てみたいと思っていたのが、厳原町曲(まがり)地区の盆踊りです。私も同じ町内に住んでいますが、ここの盆踊りは曲地区の、初盆を迎えた家の屋内や墓前のみで舞われるため、私は見る機会がありませんでした。その踊りが、対馬島郷土芸能発表大会で披露されるというので行ってきました。
プログラムによると、演目は「四ツ竹踊り」と「柳踊り」の二つで、演じるのは地区の小中学校の生徒と高校生となっています。
「四ツ竹踊り」は白い飾りが付いた竹片を両手に持って、お囃子衆の唄に合わせて踊ります。児童たちが真剣なまなざしで踊る姿に、観客からは盛大な拍手が送られました。本来は地区の10代から20代の青年たちで舞われているようですが、最近は教育の一環として小中学校で、女生徒も交えて教えているということでした。
「柳踊り」は南京玉すだれのような小道具を持ち、太鼓と唄に合わせゆっくりと舞います。その立ち姿は太極拳の演武のように腰を落とし、ひざを曲げて行われていることからかなりの筋力と体力がいるように感じました。今回披露された踊りの他に、曲の盆踊りとして伝わっているのは「綾踊り」「二本扇踊り」と全部で四つあり、厳原町の他の地区に伝わる先祖供養の盆踊りとともに、対馬厳原の盆踊りとして国の無形民俗文化財(記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財)に指定されています。
古くから伝承されている踊りを、次の世代へ引き継ぐのは少子高齢化の進む中、難しくなってきているのでしょうが、これからも途切れないように続けていってもらいたいですね。
対馬特派員 鍵本泰志
第25回 対馬島郷土芸能発表大会
主催 対馬島郷土芸能保存会
日時 平成27年11月29日 対馬市交流センターで開催されました。