海からの恵み 対馬食通祭

対馬食通祭 交流センター01

 

 黒潮の支流、対馬暖流に囲まれている対馬には多種多様な魚が生息しています。山々が連なり耕作地が不足していたことから先人たちの多くは、この豊かな海からの恵みで命を繋いできました。最近ではタチウオ、アマダイ、ノドグロ、アナゴ、養殖マグロなど多くの魚がブランド化され島外へ出荷されています。

 しかしこのような高級魚はなかなか私たち島民の口には入りません。そんな中、最近よく催されているのが、対馬の食材を島民に食べてもらおうという試みで始められた対馬食通祭です。

対馬食通祭 交流センター02  

11月22日に開催されたオープニングイベントではマグロの解体ショーと試食会が行われ、対馬のブランド魚「トロの華」が無料で試食できるとあって長蛇の列が出来るほどの人気でした。

一方、12月19日に開催された水産品の販売では、大きなサザエ、ヒラメ、ナマコ、ひおうぎ貝にアワビ、干物などが並び、値段を聞いたり、美味しい食べ方を尋ねたりで皆さん興味しんしんの様子でしたよ。

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サザエはまだ禁漁期間の場所が多く、水揚げが少ないため1キロ1500円と高めの値段でしたが、ひおうぎ貝は1枚70円とお得。私は焼いてバターと醤油で食べるのが好きです。写真を撮ってると出店している水産会社の社長さんがやってきました。以前からの知り合いなので、「商品持ってアピールしてください」とリクエストすると恥ずかしがりながら、アワビを手に写ってくれました。

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この阿比留(あびる)社長。いつも島内中を走り回り、旬の海産物を仕入れて販売しています。ちなみに手にしているアワビは100グラム1,000円。これで4,000円から5,000円とのこと。大きいだけに値段も高いですね。これも都会では8,000円以上で販売されているんじゃないかと思います。アワビは海草をエサにしているのですが、近年は磯焼けと呼ばれる海の砂漠化が進んでいるため漁獲高が減っています。

加工品のコーナーでは海草のしらもが販売されていました。島内ではあえものやサラダ、刺身のけんとして使われています。あまりメジャーな食べ物ではないので、若い方は知らない食材かも知れませんが、このような食通祭では色々と見ることができて楽しいですね。

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対馬特派員 鍵本泰志

 

郷土愛を育む曲の盆踊り 第25回 対馬島郷土芸能発表大会

第25回 対馬島郷土芸能発表大会01

 古くから対馬島内各地に伝わっている盆踊り。その中でも以前から見てみたいと思っていたのが、厳原町曲(まがり)地区の盆踊りです。私も同じ町内に住んでいますが、ここの盆踊りは曲地区の、初盆を迎えた家の屋内や墓前のみで舞われるため、私は見る機会がありませんでした。その踊りが、対馬島郷土芸能発表大会で披露されるというので行ってきました。

プログラムによると、演目は「四ツ竹踊り」と「柳踊り」の二つで、演じるのは地区の小中学校の生徒と高校生となっています。

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「四ツ竹踊り」は白い飾りが付いた竹片を両手に持って、お囃子衆の唄に合わせて踊ります。児童たちが真剣なまなざしで踊る姿に、観客からは盛大な拍手が送られました。本来は地区の10代から20代の青年たちで舞われているようですが、最近は教育の一環として小中学校で、女生徒も交えて教えているということでした。

第25回 対馬島郷土芸能発表大会03

第25回 対馬島郷土芸能発表大会04

「柳踊り」は南京玉すだれのような小道具を持ち、太鼓と唄に合わせゆっくりと舞います。その立ち姿は太極拳の演武のように腰を落とし、ひざを曲げて行われていることからかなりの筋力と体力がいるように感じました。今回披露された踊りの他に、曲の盆踊りとして伝わっているのは「綾踊り」「二本扇踊り」と全部で四つあり、厳原町の他の地区に伝わる先祖供養の盆踊りとともに、対馬厳原の盆踊りとして国の無形民俗文化財(記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財)に指定されています。

 古くから伝承されている踊りを、次の世代へ引き継ぐのは少子高齢化の進む中、難しくなってきているのでしょうが、これからも途切れないように続けていってもらいたいですね。

 

対馬特派員 鍵本泰志

第25回 対馬島郷土芸能発表大会

主催 対馬島郷土芸能保存会

日時 平成27年11月29日 対馬市交流センターで開催されました。

力強い御神木「住吉神社の夫婦杉」

 

最近はすっかり冷え込み、冬模様の対馬ですが

そんな冬の寒さにも負けず力強い姿を見せてくれる夫婦杉が美津島町鶏知(けち)の住吉神社にあります。

 

 

周りの木々が色付いていく中で尚青々とした葉を生い茂らせているこの夫婦杉。

詳しい樹齢は判明しませんでしたが、幹の太さを見るに杉の中では恐らくまだまだ若い若夫婦さんなのでしょう。

 

しかし、こうして下から見上げてみると

杉の中では若いとはいえ人間の尺度では途方も無く長い時間を生きてきたのであろう事を実感します。

そんな事を考えながら木の幹に手を当ててみると、心なしか少し温もりがあるように感じるのでした。

 

住吉神社で奉られている彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)という神様のご利益のひとつには夫婦円満があるので

夫婦杉へ興味を持たれた方は是非ご夫婦で住吉神社をご参拝なさっては如何でしょうか!

対馬特派員 鍵本拓弥

寒くなったらこれ!いりやきそば

いりやきそば01

12月になると一段と冷え込んできますね。寒さが厳しい対馬で、この時期によく食べられる郷土料理に「いりやき」という鍋料理があります。漁村では魚、農村では地鶏を入れ、季節の野菜とともに味わうのですが、最後に具材の味がしみ込んだ汁をソーメンやうどん、そばにかけて食べると美味しいことから「いりやきは後食え」ということわざがあるくらいです。

そこで今回は、ご家庭でも簡単に出来るいりやきそばをご紹介します。

いりやきそば02

【いりやきそばの材料(2人前)】

鶏のぶつ切り ・・・ 200g

対州そば ・・・2人前

しいたけ(干ししいたけは水で戻す) ・・・ 4枚

ごぼう(ささがき) ・・・ 半分

水 ・・・ 800cc

*塩・・・適宜

*うすくちしょうゆ ・・・大さじ2から3

*酒 ・・・ 大さじ2

*砂糖またはみりん・・・適宜

ネギ ・・・適宜

【作り方】

鍋に水と鶏のぶつ切り、しいたけとごぼう、調味料(*印)を入れ中火で30分程度煮ます。

ゆでた対州そばに汁をかけ、具材を乗せれば完成。簡単ですね。

何か足りないなと感じたら、顆粒の鶏ガラスープの素を小さじ1杯入れると、こくが出て美味しいですよ。

 

いりやきそば03

いりやきは、各家庭ごとに具材も味付けも違うので色々な作り方がありますが、全体的に甘めの醤油味が基本となります。我が家でそばをたべるときに、いりやき風にして食べることから紹介してみました。

皆様も、ぜひお試しください。

対馬特派員 鍵本泰志

厳原港のシンボル 立亀岩(立神岩)

立亀岩01

 対馬に生れた人々にとって、進学や就職で故郷を離れるときに目にするのは出航する船から眺める港の風景でした。厳原港の東岸には立亀岩(たてがみいわ)と呼ばれる巨大な岩がそそり立っています。島人はこの岩を見ながら、不安や希望を胸に都会へ旅立ち、お盆や正月に里帰りした時は、この岩を見て故郷へ帰ってきたと懐かしい気持ちと安堵感が湧き上がったものでした。

立亀岩02

 祖母に聞いた話では、フェリーや高速船、韓国航路の船が入出港している現在と違い、昭和初期までこの立亀岩の下は浪打ち寄せる海岸で、恋に破れた乙女が身投げするような場所だったとか。

立亀岩という名は亀が立っているような形からつけられたようですが、これは後世つけられたもので、本来は立神岩(たてがみいわ)といい、神が降り立つ場所だったようで、航海安全の神、住吉神社が祀られています。

立亀岩03

昔は船が出港する際は大勢の見送りの人とデッキで旅立つ人が色とりどりの紙テープで繋がり、船が岸壁を離れるとテープが切れ哀愁を誘ったものでした。飛行機が普及している現在では、見送りもあっけないように感じます。都会へ旅立つ人が最後に目にするのは、上空から見下ろす対馬のリアス式海岸でしょうか?

対馬特派員 鍵本泰志