春の磯開き 懐かしい磯ものがいっぱい!

磯のかた貝

(かた貝(松葉貝)・厳原町小茂田の磯にて)

磯開き・おがみぜ

(おがみぜ(カメノテ)厳原港の磯にて)

 春になると対馬の各漁村では磯開きが行われます。私が子供の頃は、自由にとっていた磯ものと呼ばれる貝類ですが、最近は減少して漁業権が無い人がとることは禁止されています。子供の頃に食べていた味は大人になっても忘れがたく、無性に食べたくなることってありませんか?

 そういう時にお世話になるのが、生産者市場の鮮魚コーナー。さっそく覗いてみると、対馬ではオガミゼと呼ばれるカメノテや、かた貝と呼ばれる松葉貝、サザエ、トコブシなど磯ものであふれていました。

磯開き・生産者市場01  磯開き・生産者市場02

 そこで目をつけたのが、かた貝(松葉貝)。子供の頃は塩ゆでして食べていましたが、周りにいた人たちに尋ねると、貝殻ごと味噌汁に入れるとか、炊き込みご飯で食べると美味しいとのこと。さっそく購入して炊き込みご飯を作ってみることにしました。

かた貝

2パックでこの量。これで税込400円でした。

【炊き込みご飯のレシピ】

1.かた貝は殻と身が剥がれるように軽く茹でます。身は縮んで少し小さくなります。(茹で汁は捨てないで下さい)

2.かた貝の内臓は小石が噛んでいたりするので、取り去ります。そのときに細いひも状のものも内臓についてくるので一緒に取ります。

3.かた貝、にんじん、生シイタケ、ごぼう、こんにゃくを食べやすい大きさにカット。

4.洗ってざるにあげていた米を炊飯器に入れ、水の代わりに米の分量分の茹で汁をこしながら加えます。3の材料と薄口しょうゆ、酒、塩、みりんもしくは砂糖で味付けし炊きます。簡単ですね!

かた貝 炊き込みご飯

出来上がりました!磯の香りがして美味しそう!いただきま~す!

対馬特派員 鍵本泰志

 

 

父との想い出 手作りイカ型でイカ曳き

イカ型01

 我が家の茶の間のなげしには、古い餌木(えぎ)が掛っています。これはイカを釣る目的で作られた古くからある疑似餌で、私が子供の頃はイカ型と呼んでいました。

 現在ではホームセンターの釣り具コーナーや釣り具店に行けば、色鮮やかな餌木がたくさん販売されていますが、昔はこのように木片から削りだし、色を塗って手作りしていました。手先が器用で釣り好きだった父(故人)は自分で作ったイカ型でミズイカ(アオリイカ)を釣るのが趣味で、小学校3年くらいから私も良く連れて行ってもらいました。

 父は伝馬船(てんません)と呼ばれる櫓漕ぎの小さな船を持っていました。船尾で片手で櫓を漕ぎながらゆっくり船を走らせ、もう一方の手でイカ型の仕掛けをしゃくりながら釣っていた姿を思い出します。帰港するときに櫓を漕ぐのは私の役目。小さい体でエッチラオッチラと漕いで帰っていました。

 釣果は季節や潮の流れもありますが、イカ型の出来に左右されるので良く釣れる物は本職の漁師さんが売ってくれと言ってました。そんなとき、人が良い父は惜しげもなく無料で上げていましたから我が家に残っているイカ型はこの3本だけとなりました。

イカ型02

スーパーの鮮魚コーナーには大きなミズイカが販売されていました。大きなものは2,000円を超える値段がついています。子供の頃は父のおかげでミズイカはもちろん、サザエやアワビ、ウニなども買うものじゃなくて食べたければ自分で獲るものだったのですが、現在では買うものになってしまったのはさびしいですね。

なげしから父が削ったイカ型を降ろして手に取ってみると「おーい、ミズイカ曳きに行くぞ」という父の声が聞こえたような気がしました。

イカ型03

対馬特派員 鍵本泰志

海からの恵み 対馬食通祭

対馬食通祭 交流センター01

 

 黒潮の支流、対馬暖流に囲まれている対馬には多種多様な魚が生息しています。山々が連なり耕作地が不足していたことから先人たちの多くは、この豊かな海からの恵みで命を繋いできました。最近ではタチウオ、アマダイ、ノドグロ、アナゴ、養殖マグロなど多くの魚がブランド化され島外へ出荷されています。

 しかしこのような高級魚はなかなか私たち島民の口には入りません。そんな中、最近よく催されているのが、対馬の食材を島民に食べてもらおうという試みで始められた対馬食通祭です。

対馬食通祭 交流センター02  

11月22日に開催されたオープニングイベントではマグロの解体ショーと試食会が行われ、対馬のブランド魚「トロの華」が無料で試食できるとあって長蛇の列が出来るほどの人気でした。

一方、12月19日に開催された水産品の販売では、大きなサザエ、ヒラメ、ナマコ、ひおうぎ貝にアワビ、干物などが並び、値段を聞いたり、美味しい食べ方を尋ねたりで皆さん興味しんしんの様子でしたよ。

対馬食通祭 交流センター04

対馬食通祭 交流センター05

サザエはまだ禁漁期間の場所が多く、水揚げが少ないため1キロ1500円と高めの値段でしたが、ひおうぎ貝は1枚70円とお得。私は焼いてバターと醤油で食べるのが好きです。写真を撮ってると出店している水産会社の社長さんがやってきました。以前からの知り合いなので、「商品持ってアピールしてください」とリクエストすると恥ずかしがりながら、アワビを手に写ってくれました。

対馬食通祭 交流センター06

この阿比留(あびる)社長。いつも島内中を走り回り、旬の海産物を仕入れて販売しています。ちなみに手にしているアワビは100グラム1,000円。これで4,000円から5,000円とのこと。大きいだけに値段も高いですね。これも都会では8,000円以上で販売されているんじゃないかと思います。アワビは海草をエサにしているのですが、近年は磯焼けと呼ばれる海の砂漠化が進んでいるため漁獲高が減っています。

加工品のコーナーでは海草のしらもが販売されていました。島内ではあえものやサラダ、刺身のけんとして使われています。あまりメジャーな食べ物ではないので、若い方は知らない食材かも知れませんが、このような食通祭では色々と見ることができて楽しいですね。

対馬食通祭 交流センター 07

対馬特派員 鍵本泰志

 

「簡単に釣れんけん面白いと」 ぶっこみ釣り

ぶっこみ釣り01

 秋も深まってきた今日この頃。夏の間は下火だった釣り人の姿も桟橋に戻ってきました。さっそく年配の男性に「何が釣れっとですか?」と声をかけると、「ぶっこみ釣りやけ、なんでも釣れる」という返事。仕掛けを見せてもらうと一番下におもりが付いた簡単で基本的な仕掛け。エサは2cm角に切った塩サバを使っていました。

 

ぶっこみ釣り02

 魚はエサを下から狙っているし、根掛かりを減らすためにこのような仕掛けで釣っているとのこと。5分くらい見物していると、竿先がクイックイッと揺れ、その後、ググーと大きくしなりました。「これは大きい魚が掛った!」とワクワクしながら見ていると、釣り人はリールを巻き上げるのをやめ「こりゃ、アラカブ(カサゴ)じゃ。エサに喰いついたら穴の中に入って出てこんごとなる。少し様子を見よう」としばし待っていると再度、竿先がクイックイッと揺れ始めリールを巻きますが、、またもや穴に入られた様子。

しばらく経っても魚が穴から出てこないので、糸を切って新しい仕掛けを準備しました。「大きいのが掛ったのに、残念ですね」と声をかけると「簡単に釣れんけん面白いと。これが入れ喰いだったら面白くないよ」とニコニコしながら答えてくれました。

ぶっこみ釣り03

(大きなアラカブ(カサゴ)がヒットした瞬間 竿先が大きくしなっています)

今回取材に訪れた曲崎は、夕方に小アジを釣り、暗くなるとそれをエサに電気ウキの仕掛けでヤリイカが釣れ、10月を過ぎるとアオリイカのジギングも盛んに行われている場所です。

釣れたら嬉しい。釣れなくてもそれを楽しむ。その気持ちの持ちようが勉強になった取材でした。

対馬特派員 鍵本泰志

場所  長崎県対馬市厳原町曲地区 グーグルマップ

アクセス  厳原市内より国道382号線を北上。厳原中学校前交差点を右折し県道24号を進み、小浦で右折。

厳原市内から5.1km。車で10分

真夏の太陽の下で「シロギス釣り」

初夏から夏にかけてはシロギスのシーズン!
8月頃は特に活発に活動しておりエサへの食いつきも良いのです!
 
 
今回は豊玉町でシロギス釣りに挑戦してみましたが
仕掛けを投げて5分と待たずに当たりが!
 
やや小ぶりですが十分食べられるサイズ!
 
 
シロギスを釣る時の投げ釣りはちょっとコツが必要。
初めて挑戦する方は仕掛けの作り方も含めて釣り具屋さんなどで尋ねてみると良いですよ!

 

対馬特派員 鍵本 拓弥

豊漁の海 対馬海峡 

初夏の魚01

 初夏といっても対馬では、雨天、曇天が続いてます。釣り情報を求めて車を走らせましたが、お天気のせいか、なかなか釣り人さんに出会えないので、生産者直売所の鮮魚コーナーを覗いてみました。

まず、目についたのがイカ。スルメイカは年間を通して流通していますが、旬は夏から秋にかけて、ヤリイカは秋から冬にかけてが旬といわれています。我が家では、ヤリイカはお刺身で、スルメイカは一夜干しを炙って食べたり、天ぷらで食べます。

初夏の魚02

 次に目についたのがワタリガニ。秋から冬にかけてが旬です。以前、韓国の仁川(インチョン)で、カンジャンケジャンというワタリガニの醤油漬けを食べたことがあります。身を食べた後、甲羅にご飯を入れ、カニみそと醤油の漬けダレと混ぜて食べるのですが、これが絶品。一番美味しい食べ方ではないでしょうか。ただ、残念ながら夏はあまり味が良くないと言われています。そして、小ぶりのイワガニ。これは良いダシが出るので味噌汁に入れて食べることが多いですね。

 アラカブ(カサゴ)は春が旬。しかし刺身、煮付け、唐揚げなど多種多様な調理で美味しくいただけますので、旬はあまり気になりません。マトウダイの旬は秋から冬。こちらもアラカブ同様、色々な調理で美味しく、また値段も安価なので人気のお魚です。店頭に並ぶことが少ないので、見つけたら即買いの魚です。冬は鍋でもいけますよ。

 対馬は東シナ海から黒潮が流れ込み、対馬暖流となって日本海へと続く栄養豊富な海流の中にあるため、鮮魚コーナーを覗いても様々な魚がいます。こうして安価に地物の魚を食べれる環境も島暮らしの醍醐味ですね。

対馬特派員 鍵本泰志

生産者直売所 ふれあい市場(スーパーサイキ内)

長崎県対馬市美津島町鶏知乙505-1 

魚といえばこれ!久田で見つけた「対馬のアジ」

 

鯵(アジ)!日本全国一年中スーパーや魚屋さんでその姿を見ることが出来る鯵ですが実は5月から7月までが旬。

旬の鯵は冬の鯵よりも少し小振りですが脂が乗っていてお刺身などにするととても美味しいんですよ!

 

この日、厳原町の久田港にある桟橋で見つけた釣り人さんも鯵を釣っていらっしゃいました!

ちなみに、釣り人さんの使っている仕掛けはサビキ。

防波堤からの釣りに適した仕掛けで、オキアミを詰めた重り付きの籠の上に疑似餌針が付けてある仕掛けです。

 

クーラーボックスを見せていただくと、大きな鯵が。

桟橋からでもこのサイズが釣れるなんて!

このように気軽に挑戦できるサビキを使った鯵釣り、一度挑戦してみてはいかがでしょうか!?

 

対馬特派員 鍵本拓弥

漁火(いさりび)の島 いか釣り漁業

漁火

 沖に輝く無数の灯り。昔から対馬ではよく見られてきたいか釣り船の漁火です。

対馬のいかは長崎県下で一番の水揚げを誇り、新鮮なまま福岡や関西などの魚市場へ出荷される他、干しするめや一夜干し、塩辛などに加工され販売されています。

いか釣り漁船

 対馬のいか釣りは、昭和30年代に自動巻上げ機とパラシュートアンカーが普及したことから発展。平成4年をピークに漁獲高を伸ばし続けました。その後年々減少し、近年の燃油高騰が加わり収益が悪化していることから、出漁を見合わせる船も多いようです。(本文と写真の漁船は関係ありません)

いか釣り漁獲高推移

いかのカーテン

 対馬島内でよく聞く言葉に、「対馬は漁師が元気じゃないといけん!」というのがありますが、その通りだと思います。昔は漁村に行くと干したスルメイカがずらっと並び「いかのカーテン」といわれていた光景も、あまり見かけなくなりました。漁火とあわせて後世に残していきたいものです。

対馬特派員 鍵本泰志

参考資料 長崎県漁船漁業構造改革推進事業実績報告書

新しい漁業の取り組み 阿須湾漁協

阿須湾

 厳原町の北東部に阿須(あず)という小さな漁村があります。私は幼い頃ここで暮らしていましたので、私にとっての原風景でもある懐かしい場所です。湾内に係留してある漁船を見ると昔と変わらず1本釣り主体の漁師さんが多いようですが、近年では温暖化、磯焼け、燃料費の高騰などで生活は厳しい状況に置かれています。

 そこで阿須湾漁協では漁業所得の向上を図るため様々な取り組みが行われており、その中のひとつに昆布の養殖があります。昆布というと北海道や東北など寒流が流れている地域のものだと思ってましたが、暖流が流れている対馬の昆布はどんな感じでしょうか?生産者が直接販売する日曜朝市でこの昆布を販売するというのでさっそく早起きして伺いました。

日曜朝市 阿須湾漁協 養殖昆布の販売

 朝市の会場ではトロ箱に地元で獲れた様々な鮮魚や一夜干し、野菜などが並べられ販売されています。その一角に阿須湾漁協と書かれたテーブルがありました。お話を伺うと5年ほど前から昆布の養殖に取り組んでおり、その品質の良さから現在は福岡のデパートへ出荷するまでになったとのこと。食べ方を尋ねると「さっと湯がいたら色が緑に変わるけ、それに酢ジョウユをかけて食ったら美味いよ。最高!」と言われさっそく1袋を購入。1㎏入りで300円でした。

 その場で袋の口を開けてみると、磯の香りがする新鮮な昆布がぎっしり。これは期待できそうですね。

阿須湾漁協 養殖昆布

 家に帰ってさっそく料理。カットしているときのネバネバがすごく、とても体に良さそうです。まずは漁師さんに言われた通り、湯通しした昆布に酢ジョウユをかけたもの。食べてみるとあっさり、さっぱりした中に旨味があり最高!(もう少し細切りにした方が良かったかも。ワカメみたいですね)さらにご飯のお供として佃煮も作ってみました。こちらも湯通しした昆布を濃口しょうゆ、日本酒、砂糖、水、みりんで水分が飛ぶまで煮るだけの簡単料理。ご飯が炊きあがるのが待ち遠しいくらいの美味しさでした。

昆布の佃煮、サラダコンブ

阿須湾漁協のみなさんが大切に育てた養殖昆布。この成功がさらに拡大して全島の漁業が活性化すれば良いですね。

対馬特派員 鍵本泰志

阿須湾漁協の養殖昆布販売

場所 長崎県対馬市今屋敷 ティアラ

日時 4月5日、12日、19日、26日の朝8時30分から売り切れまで

 

波止からのコッパ釣り 美津島町吹崎

コッパグレ01

 釣り人を求めて浅茅湾に面した美津島町の吹崎(ふくざき)へとやってきました。静かな波止に二人の釣り人が竿を出していたので、ご挨拶をして何が釣れるか伺ったところ、「コッパ、コッパ」という返事が返ってきました。

 対馬では標準和名のメジナをクロとかグレと呼びますが、20cm未満の小型のメジナはコッパとかコッパグレ、コッパグロと言ってます。メジナといえば沖磯での釣りのターゲットして人気の魚ですが、小型サイズのコッパであれば波止からも釣れるため結構釣ってる人を見かけます。海を覗いてみると、撒き餌でエサ取りと呼ばれる小さい魚がたくさん集まっています。でもよく見るとその中に少し大きい魚がいるような・・・

コッパグレ02 

海から釣り人の方へ振り返ってみたら・・・なんとすでに釣り上げてました!その間わずか1分足らず!あわててカメラを向け写真を撮らせていただきました。

コッパグレ03

 このコッパ釣り、撒き餌や針に付けるエサ、仕掛けなど基本は沖磯での釣りと一緒なので、学ぶべきところがいっぱいあって釣りの初心者にも良いかもしれませんね。このくらいのサイズだと調理も簡単ですしね。今の時期だと黒焼きにして、対馬の郷土料理ロクベエのダシにしたら美味しいですよ。

対馬特派員 鍵本泰志

場所  長崎県対馬市美津島町吹崎(ふくざき)

アクセス  厳原港から国道382号線を北上、美津島町の十八銀行を左折して県道24号を北西へ進む。

厳原から19km 車で35分から40分