対馬に古くからあるお宅の庭の隅に、屋敷神が祀られているのを見かけます。これは神社の氏神とは別で、その家固有の神様として鬼門とされる敷地内の北西、または北東に祀られることが多いようです。
そこで今回のご利益ヨロシクは、ちょっと変わった対馬藩家老屋敷跡に残る「陰陽石の魔除け石」をご紹介。
国道382号線沿いにある立派な長屋門。こちらは対馬藩主宗家の一門、氏江氏の屋敷跡で現在は長崎県対馬支庁や地方局、振興局となっています。石垣は人の背丈よりはるかに高く、李氏朝鮮との外交、交易に携わっていた対馬藩の栄華が忍ばれます。
広大な敷地を囲む石垣塀沿いに進むと、北東の一角が張り出して、衝立状の大小の石が置かれています。説明看板によると「陰陽石の魔除け石」とあり、さらに外敵や賊から守るため武者が隠れていたことから「武者隠し」とも言われるとあります。
陰陽石とあることから忌むべき方角に二つの石を祀り、家運と子孫繁栄を願ったものと思われますが、衝立状の石の裏側に武者を隠すということにも使えるところが、合理的ですね。
対馬特派員 鍵本泰志
名称 対馬藩家老屋敷跡
場所 長崎県対馬市厳原町宮谷
アクセス 厳原港から国道382号線を北上、1.4km徒歩で20分程度