今回の島のお祭りは、亀の甲羅を焼いて天下国家の吉凶を占う亀卜(きぼく)神事を紹介します。
この占いは弥生時代頃から行われている古いもので、中国から朝鮮半島を経由して対馬に伝わったといわれています。
神事が行われる厳原町豆酘地区にある雷(いかつち)神社は、川の側にひっそりとある小さな神社でした。
もともと対馬各地には卜部の家系がいくつかあり、世襲されていたらしいですが、殆どが継承されておらず、現在では豆酘地区の岩佐家が継承し、旧暦の1月3日に亀卜神事を行っています。
今回、亀の甲羅を焼いて占いを行ったのは、病気療養中の岩佐家第六十九代に変わり甥の第七十代目にあたる土脇さん。祠の前で火鉢の炭で焼いた付け木を亀の甲羅に当て、ひび割れた状態から天啓を得、半紙に占いの結果を書いていきます。
占いは、農業が吉、漁業が良とまずまずの結果でした。
明治4年の廃藩までは、対馬藩の公式行事として行われていましたが、その後行われなくなり厳原町の豆酘地区で村行事として存続しているサンゾーロー祭り。正式に行うには多くの手間と人出が必要なために、昔と比べれば現在は簡略化されたものだそうです。
本来の卜術や作法は失われているとも言われ、このままでは存続も危ぶまれますが、ぜひ後世に古式の正式な亀卜を伝えてもらいたいものです。
名称:亀卜神事(サンゾーロー祭り)
場所:雷神社
住所:長崎県対馬市厳原町豆酘
日時:旧暦の1月3日午後1時から
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